扁平上皮癌(口腔内)について
扁平上皮癌とは?
扁平上皮癌とは皮膚や粘膜を生成する扁平上皮細胞が腫瘍(がん)化してしまう病気です。
皮膚、口腔内、目や鼻、指端、肺など扁平上皮細胞がある様々な場所に発生します。
犬では口腔の扁平上皮癌がよくみられ、口腔内腫瘍のなかでは悪性黒色腫に続いて2番目に多いと言われています。
扁平上皮癌の特徴(口腔内)
多くは歯肉や口唇に発生します。
転移はあまりみられませんが、舌の根元や扁桃に発生した場合は悪性度が高く、転移が多くみられます。
赤いしこりやカリフラワー状に増殖しているもの、ただれや潰瘍など扁平上皮癌の見た目は様々です。
扁平上皮癌の原因(口腔内)
明確な原因はわかりませんが、外部からの慢性的な刺激、例えば硬すぎるおもちゃや硬い食事、おやつなどから口腔内の組織を傷つけ、細胞ががん化するとも言われています。
口腔内扁平上皮癌の好発犬種
- プードル
- キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
などが挙げられます。
扁平上皮癌(口腔内)の症状
歯茎に腫れがみられる他、ただれや潰瘍、出血などの症状がみられます。
また、痛みによる食欲不振や体重減少などの症状もみられます。
このような症状が見られたら口腔内扁平上皮癌の疑いがあります!動物病院で診察を受けましょう。
- ひどい口臭がする
- 口腔内粘膜や舌にできものがある
- 血の混ざったよだれが出る
- 口から出血している
- 食欲低下
- 食べこぼしが増える
日ごろからワンちゃん、ネコちゃんの観察を心がけることが病気の早期発見、早期治療につながります。
お口の中も定期的にチェックしてあげましょう。
扁平上皮癌の検査と診断
①細胞診検査(針生検)
細い針をしこりの中に刺して細胞の一部を採取し、顕微鏡で観察します。ただし院内で診断がつかない場合は、全身麻酔下でしこりの一部を切除して専門家にみてもらう病理組織検査(外部検査)が必要になる事があります。
②血液検査
貧血がないか、内臓の状態などを調べます。
③レントゲン検査
胸やお腹に腫瘍、転移、他の病気がないかを調べます。
④超音波検査
胸やお腹に腫瘍、転移、他の病気がないかを調べます。
扁平上皮癌の治療方法
①外科治療(手術)
最も有効な治療方法です。手術が可能であれば手術はとても大切な選択肢になります。
手術には根治を目指す手術と完全には取り切らないが、少しでも状態を改善する緩和手術があります。
扁平上皮癌は骨まで浸潤している事も多いため、根治を目指す手術では骨ごと切除する場合もあります。
②抗がん剤治療
手術が難しい場合や範囲が広く手術ですべて取り除けなかった場合に選択することがあります。
抗がん剤治療単体で行われることもありますが、他の治療と併せて行うこともあります。
③放射線治療
手術が難しい場合やサイズの小さな腫瘤(しゅりゅう)、もしくは手術で取り切れなかった場合に放射線治療を行う場合があります。
実施する場合は大学病院へご紹介します。